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パニック障害では、特段の前触れがないにもかかわらず、ある日突然、息苦しくなり、めまいや動悸などに襲われるようになります(パニック発作)。絶望感によって激しい発作に見舞われることもあります。そのため、場合によっては救急車で医療機関に運ばれることもあります。ただ、その発作というのは大体20~30分、長くても1時間以内には消え、心電図や血液検査などをしても異常は認められません。このように発作そのものの時間は短く、しばらく安静にしていれば治まるのですが、予期しない場所(公共の場など)でパニック発作を起こすので、助けを求めにくい人混みを避けるなどし、やがて外出そのものが困難となります。これによって日常生活に影響が出ることがあります。
先にも述べましたがパニック発作そのものは、しばらく安静にしていることで治まるようになります。ただ同発作は、いつ起きるか予想がつきません。これを繰り返すようになれば、あの苦しい思いを再びしなくてはならないのではないかという不安感や恐怖感が常につきまとうようになります。さらにそれが助けを求められない場所で起きたらどうしようという悩みに見舞われます(予期不安)。これが高じてしまうと、電車の中やエレベータなど人混みの場所を避けるようになります(広場恐怖)。さらに進行すると外出そのものを避け、日常生活に支障をきたすこともあります。
このパニック発作だけでなく、予期不安や広場恐怖がみられている状態をパニック障害と言います。パニック発作のみでは、パニック障害とは診断されません。
パニック障害の治療は、主に薬物療法と精神療法(認知行動療法)になります。薬物療法では、パニック発作を抑える「抗うつ薬(SSRI)」や「抗不安薬(BZD)」が効果的です。SSRIはパニック発作を確実に抑制するとされ、BZDは不安症状全般に有効と言われています。どちらも副作用が少ないお薬です。
また薬物療法に併行して認知行動療法も行っていきます。主に広場恐怖に有効とされる曝露療法を行っていきます。この場合、段階的曝露療法が取り入れられます。これは電車に乗るのが恐怖であれば、最初は家族に電車内に同伴してもらうなどして、容易な段階から挑戦していき、やがて誰の助けもなく一人で乗れるようにしていきます。また認知療法によって認知の歪みに気づくなどして、気持ちを楽にさせるといったことなどもしていき、症状を軽減させるようにします。