統合失調症とは

統合失調症

統合失調症は、幻聴や妄想などの特徴的な症状が現れてくる病気です。概ね100人に1人の割合で発症するとされており、それほど珍しい疾患ではありません。とくに10歳代後半から20代半ばの世代で発症しやすいと考えられています。男女別では、男性患者さまの方が早い年齢層のうちに発症し、女性患者さまの年齢の方がやや高めです。全体的には男性患者さまの数がやや多い傾向にあります。

主な症状

統合失調症の症状は、主に陽性症状、陰性症状、認知機能障害に分けられます。このうち陽性症状は、幻覚(幻聴、幻視)、妄想などの症状が現れている状態であり、この病気の患者さまには非常に多くみられます。具体的には、誰かが自分の悪口を言っていると感じ、ありもしないことで悩むといったことなどです。

陰性症状は、正常な精神機能が低下したり、失われたりしていることで起こります。本来ならば嬉しさや悲しさなどがこみあげてくる出来事に遭遇しても、何の反応も示さなくなったり、興味を失ったりします。思考が支離滅裂になり、話している内容がころころ変わり、周囲の方が理解できなくなってしまうこともしばしば見受けられます。子供じみた行動、不適切な行為をとってしまうことも少なくありません。

認知機能障害は、記憶力や判断力の低下がみられている状態を言います。いずれの症状であっても患者さま自身は、自らの思考や行動が病気の影響であるという自覚はありません。

このようなときはご相談ください

  • 誰かが自分の悪口を言っている
  • 自分にははっきり見えているのに、他人から「見えない」と言われたことがある
  • 誰かが自分のことを陥れようとしている
  • 自分の考えを他人に吸い取られてしまったことがある
  • 自分の行動は誰かに操られているように感じる
  • 急に興奮し、大声で叫んだことがある など

治療について

統合失調症の治療は、薬物療法と非薬物療法(精神療法、リハビリテーション)になります。薬物療法では、主に抗精神病薬が用いられます。これを継続的に服用することで症状を安定させるようにします。抗精神病薬だけではうまく症状をコントロールできないという場合は、抗うつ薬や抗不安薬を併用します。さらに非薬物療法も取り入れます。具体的には、自らの病気をよく知るための心理教育、社会復帰に向けた生活技能訓練、他の患者さまと同じ悩みを共有するなどの治療を行います。

この病気は、なかなか治りにくいケースが少なくありませんが、最近は良いお薬も開発されています。また、早期に治療を開始することによって症状がコントロールしやすくなったという患者さまも増えています。お一人で、またはご家族だけで悩むのではなく、まずは当クリニックをご受診ください。